シリーズ:中国「見そこない」の歴史(1)米川正夫の場合
『目覚めた獅子』(米川正夫『世界紀行文学全集』修道社 1971年)
中国崩壊論が、中国の抱える問題点を正しく抉っているのか。はたまた、中国崩壊論は崩壊した、との指摘が中国の現状を捉えているのか。いずれも不明だが、双方の議論の背景に、我が国における中国との向き合い方という積年の難題が潜んでいるように思える――と、年頭に際して綴っておいたが、改めて日本人の中国認識という問題を考えてみたい。
本来は幕末から扱うべきだろうが、取りあえず「新中国」と呼ぶようになった中華人民共和国建国以降に訪中した人々の紀行を拾い読みしながら、シリーズとして「中国について見そこないの歴史」(安藤彦太郎『現代中国事典』講談社現代新書 1972年)を振り返ることとする。
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