金正恩も激賞した「中国芸術団」舞台演目に込められた「狙い」

『紅色娘子軍』の軍事訓練シーン。両手に手榴弾を持っている(筆者提供)

 

 4月16日、中国共産党の宋濤・中央対外連絡部長率いる芸術団は、平壌において金正恩朝鮮労働党委員長と李雪主夫人を前に公演を行った。

 テレビのニュース画面でチラッと流れた公演の一部、それに公演後に舞台の上に並び金委員長夫妻を囲んだ役者の衣裳からして、演目は『紅色娘子軍』に間違いないだろう。

『紅色娘子軍』は、1966年から10年間続いた文化大革命(以下、文革)当時、全国民に対し毛沢東思想を徹底して教育・宣伝するために創作された革命模範劇の1つ。テーマは、1946年から始まった国共内戦当時の海南島における地主打倒・農奴解放闘争であり、京劇やバレエ劇、さらには地方劇に翻案され全国で公演された。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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