荒れ野の古里に花を咲かせた「飯舘村」の「帰還農家」

執筆者:寺島英弥 2018年9月7日
エリア: 日本
カスミソウの生育を見る菅野啓一さん・忠子さん夫妻(筆者撮影、以下同)

 

 除染土の仮置き場が居座り、夏草が伸びた農地には耕す人の姿もない。東京電力福島第1原子力発電所事故の避難指示解除から、まもなく1年半の福島県相馬郡飯舘村の比曽地区に、鮮やかな高原の花々がよみがえった。今年、8年ぶりに栽培を再開した菅野啓一さん(63)のビニールハウスだ。避難中も自宅に通って除染実験に取り組み、「住民が協力すれば復興できる」と訴えたが、帰還した仲間はわずか。それでも、約230年前の天明の飢饉で荒廃した古里を現在に重ね、「先人の苦労を思えば頑張れる」と言う。この夏、東京に出荷したお盆の花を過去への手向けにし、明日への希望にして。                 

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執筆者プロフィール
寺島英弥 ジャーナリスト。1957年福島県生れ。早稲田大学法学部卒。河北新報元編集委員。河北新報で「こころの伏流水 北の祈り」(新聞協会賞)、「オリザの環」(同)、「時よ語れ 東北の20世紀」などの連載に携わり、2011年から東日本大震災、福島第1原発事故を取材。フルブライト奨学生として2002-03年、米デューク大に留学。主著に『シビック・ジャーナリズムの挑戦 コミュニティとつながる米国の地方紙』(日本評論社)、『海よ里よ、いつの日に還る』(明石書店)『東日本大震災 何も終わらない福島の5年 飯舘・南相馬から』『福島第1原発事故7年 避難指示解除後を生きる』(同)。3.11以降、被災地における「人間」の記録を綴ったブログ「余震の中で新聞を作る」を書き続けた。
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