世界中で民主主義が後退しているという見方がある。
政治社会学者であるラリー・ダイヤモンドによれば、2006年以降、新興諸国での民主主義の質の低下と安定性の動揺、権威主義の台頭といった現象が顕著にみられるようになったという。同じく政治学者のロベルト・フォアとヤシャ・モンクも、現在、世界中で非民主主義に分類される国家が増えていると指摘する。彼らによれば、安定的に民主主義が発展し、定着してきたと考えられている国家でさえ、民主主義国家で生活を送ることの意義を理解できず、権威主義体制に魅力を感じ、場合によっては民主的政府に代わり軍政が敷かれることさえ許容する人びとが増えているという。現代社会では、やはり民主主義が後退しつつあるのだろうか。

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