新生シリア、莫大な負の遺産を継ぐ国家再建のリアル(下)――「力の空白」をめぐる外国勢力の関与に新局面

ダマスカス近郊に展開した治安機関員。イスラエルの支援を受けたドルーズ派と新政権の衝突も起きている[2025年4月30日](C)AFP=時事
領土の分割:米国、トルコ、イスラエルの動きが播く火種
もう一つの大きな負の遺産は、やはりシリアの領土の一体性が外国勢力によって蹂躙されているという、これまでと変わらぬ事実である。アサド政権崩壊は、イランとロシアのプレゼンスを縮小させた一方で、トルコとイスラエルのプレゼンスを拡大させ、両者の間で緊張を生みつつある。この問題は、厄介なことに北東部のクルド勢力や南部のドルーズ派に代表されるように、ダマスカスの新政権とは距離をとるシリア各地の自律的な動きと呼応しあっている。

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