ゴーン外伝:名門「ミシュラン」で学ばなかった「大切なこと」

執筆者:国末憲人 2018年11月26日
エリア: ヨーロッパ アジア
日産の再建に乗り込んできた当時。コストは大胆にカットしたが、慎ましさはなかった(C)AFP=時事

 

 金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で東京地検特捜部に逮捕され、11月22日の臨時取締役会で解任された日産自動車前会長のカルロス・ゴーンは、周知の通りルノー会長、三菱自動車会長を兼ね、この業界に君臨してきた。しかし、彼が企業人としてのキャリアを築いたのは自動車業界ではなく、三つ星ガイドで知られるフランスのタイヤメーカー「ミシュラン」である。

 ゴーンは、このフランスきっての優良企業で出世頭となりながら、42歳の時に転身した。彼のその後の栄光と今回の転落につながる決断である。なぜ彼はその道を歩んだのか。そのままミシュランに残っていたらどうなっていたか。拙著『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(新潮選書、2011年)の取材資料をもとに、彼の特性の一端を探ってみたい。

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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