医療崩壊 (19)

名門医学部「純血主義」が生む「不正」「性犯罪」「医療事故」

執筆者:上昌広 2019年1月10日
タグ: 日本
エリア: アジア
不正入試問題で今後の対応などについて説明する東京医科大学の林由起子学長(C)時事

 

 2018年は医学部の不祥事に明け暮れた1年だった。それを象徴するかのように、12月14日、文部科学省は医学部を対象に実施した入試状況の緊急調査の結果を公表した。この調査では、全81の医学部のうち、9校が「不適切」と認定された。女子や浪人の受験生を差別し、OBの子弟を優遇していたことが明らかとなった。

慶大の不正入試疑惑

 不適切と認定されたのは、岩手医科大学、東京医科大学、昭和大学、順天堂大学、日本大学、北里大学、金沢医科大学、神戸大学、福岡大学の9校だった。さらに聖マリアンナ医科大学は差別を否定したため、「不適切の可能性が高い」とされ、大学は調査を求められた。

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執筆者プロフィール
上昌広(かみまさひろ) 特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長。 1968年生まれ、兵庫県出身。東京大学医学部医学科を卒業し、同大学大学院医学系研究科修了。東京都立駒込病院血液内科医員、虎の門病院血液科医員、国立がんセンター中央病院薬物療法部医員として造血器悪性腫瘍の臨床研究に従事し、2016年3月まで東京大学医科学研究所特任教授を務める。内科医(専門は血液・腫瘍内科学)。2005年10月より東京大学医科学研究所先端医療社会コミュニケーションシステムを主宰し、医療ガバナンスを研究している。医療関係者など約5万人が購読するメールマガジン「MRIC(医療ガバナンス学会)」の編集長も務め、積極的な情報発信を行っている。『復興は現場から動き出す 』(東洋経済新報社)、『日本の医療 崩壊を招いた構造と再生への提言 』(蕗書房 )、『日本の医療格差は9倍 医師不足の真実』(光文社新書)、『医療詐欺 「先端医療」と「新薬」は、まず疑うのが正しい』(講談社+α新書)、『病院は東京から破綻する 医師が「ゼロ」になる日 』(朝日新聞出版)など著書多数。
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