ブレグジット考(中) 移民問題とアイデンティティー

エイドリアン・ファヴェルは著書『ユーロスターとユーロシティー』の中で、フランスの第4の都市はロンドンだという(筆者撮影)

 

 前回に続き、西イングランド大学(UWE)准教授の社会学者グラハム・テイラーの著書『ブレグジット理解のために』(2017年、未邦訳)の分類に沿って、英国が欧州連合(EU)離脱に行き着く道のりをしばらく検証したい。同書は、欧州統合にからむ英国の戦後史を、1.ポスト帝国の危機、2.英国経済の金融化と脱工業化、3.アイデンティティー・クライシス、4.政党政治の揺らぎ、の4段階に分類している。

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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授、本誌特別編集委員 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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