国際人のための日本古代史 (110)

「令和」出典『万葉集』に秘められた「悲しい情景」

執筆者:関裕二 2019年4月9日
エリア: アジア
この機会に『万葉集』の意味を正しく考えてみては(C)時事

 

 平成31(2019)年4月1日、新元号を菅義偉官房長官が発表した。安倍晋三首相は記者会見で、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」ことを託したと語っている。

 画期的だったのは、漢籍ではなく日本最古の歌集『万葉集』から2文字を選んだことだ。

「令和」は、『万葉集』巻5に残されている。「梅花(ばいくわ)の歌三十二首」の歌そのものではなく、序文に天平2(730)年正月13日に帥老(そちのおきな=大伴旅人=おおとものたびと=)の宅に集まって宴会をくり広げたこと、時に初春の「令月(よい月)で、気は良く風は穏やかだ(風和=やはら=ぐ)、とある。この中の「令」と「和」を組み合わせている。

カテゴリ: 政治 カルチャー
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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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