饗宴外交の舞台裏 (130)

エリゼ宮の晩餐を変えたサルコジの「最強の武器」

執筆者:西川恵 2008年11月号
エリア: ヨーロッパ 北米

 最近パリに出張したとき、知り合いの経済学者、ギ・ソルマン氏(六四)の家に招かれ、夕食をご馳走になった。友人らも加わった賑やかなテーブルの席上、訪仏したブッシュ米大統領の歓迎晩餐会にソルマン氏夫妻が招かれたときの話になった。 ブッシュ大統領は六月、欧州六カ国を歴訪し、十三、十四の両日、パリに立ち寄った。任期満了を来年一月に控えての最後の訪問で、サルコジ大統領になって大きく改善した両国関係を確認し、次期大統領の下でも米外交政策に大きな変更はないことを約束するのが目的だった。 十三日夜、サルコジ大統領夫妻はエリゼ宮で私的な晩餐会をもった。私的といっても両国にかかわる約百人の関係者が招かれる盛大なもので、ソルマン氏夫妻もその一組だった。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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