【特別講演】イスラエルの「政治」「安全保障」はどう変遷してきたか(下)

執筆者:池田明史 2019年6月5日
エリア: 中東
イランによるとされるロケット弾攻撃を受けた、イスラエルの占領地ゴラン高原 (C)AFP=時事

 

 イスラエルが抱える政治課題ということでもう1つ申し上げると、第1期ではイスラエル国家の安全と同時に国家の中身、つまり「国民」を作らなければなりませんでした。そこで、外に住んでいるユダヤ人であれば帰ってきたら誰でも前提条件なく市民権をもらえます、という帰還法を用意したわけです。

国内にあるさまざまな矛盾や格差

 先にユダヤ人市民と非ユダヤ人市民との間の対立について説明しましたが、実は同じユダヤ人市民の中でも違いがありました。欧米から帰ってきた人と、中東とかアジアといった、非欧米から帰還した人との間には明らかに格差があり、この格差をどうするかという問題があったのです。

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執筆者プロフィール
池田明史 東洋英和女学院大学学長。1955年神奈川県生まれ、東北大学法学部を卒業後、アジア経済研究所に研究員として入所し、イスラエルをはじめとする中東現代政治分析を担当。イスラエル・ヘブライ大学トルーマン記念平和研究所客員研究員(1984~86年)、英オックスフォードセントアントニーズ校客員研究員(1995~96年)、トルーマン研究所客員教授(1995~96年)などを歴任して在外研究に従事。1997年に東洋英和女学院大学助教授、2001年同教授を経て、2014年から現職。著書に『イスラエルを知るための62章』(共著、明石書店)『途上国における軍・政治権力・市民社会』(共著、晃洋書房)『中東政治学』(共著、有斐閣)『帝国アメリカのイメージ』(共著、早稲田大学出版部)『イスラエル国家の諸問題』(編著、アジア経済研究所)など多数。
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