ヨーロピアン・ラプソディ (21)

スペイン「バル」を買い漁る中国人投資家が活用「黄金ビザ」とは

執筆者:大野ゆり子 2019年9月2日
タグ: 中国 スペイン
エリア: ヨーロッパ
バルセロナのバルカウンター(筆者提供、以下同)

 

 スペインに行ったら、アンチョビ風味のオリーブや、小鰯の素揚げ、トルティージャと呼ばれるポテト入りのスペイン風オムレツをつまみながら、リオハの芳醇な赤ワインや水より安いビールを本場のスペインバルで味わいたい、そう楽しみにしている方は少なくないだろう。スペインと言えばバル。街角のあちこちに見かけるその数は、人口密度に対して、スペインが世界一だという説があるほど、スペインにはバルのイメージが定着している。

「セーフティーネット」の役割

伝統的なスペインバルメニュー

 他国のバーと明らかに違っているのは、スペインのバルが1杯飲みに行くという、「夜」の場所ではないことだ。朝早くから営業していて、仕事前にコーヒーとクロワッサンか、あるいはホットチョコレートとチュロスの朝食を取る人で、店はごった返す。14時からだいたい1時間半から2時間ほどかける昼食時には、デザート・コーヒー付きで1000円ぐらいのお得な定食が提供される。通常20時半からの夕食前、あるいは夕食後に、小腹が空いた顧客にビールやおつまみのタパスを出す。

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執筆者プロフィール
大野ゆり子(おおのゆりこ) エッセイスト。上智大学卒業。独カールスルーエ大学で修士号取得(美術史、ドイツ現代史)。読売新聞記者、新潮社編集者として「フォーサイト」創刊に立ち会ったのち、指揮者大野和士氏と結婚。クロアチア、イタリア、ドイツ、ベルギー、フランスの各国で生活し、現在、ブリュッセルとバルセロナに拠点を置く。
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