「京劇界の変化」は習近平「礼賛」か「批判」か

執筆者:樋泉克夫 2019年9月9日
エリア: アジア
『陳毅回川』を特集した『中國京劇』7月号(筆者提供)

 たしかに、なんとなく奇妙だ。半世紀以上にわたって京劇と政治の関係を観察し続けてきた経験則からして、文化大革命再演の“前夜”とまでは言わないが、京劇界の動きが昨年初頭を境に、それまでとは違って感じられるのだ。

 京劇界における異変を伏線にして文化大革命(以下、文革)の大激動がはじまったことは広く人口に膾炙しているところだが、1970年代末にも、京劇界で起きた些細な出来事が大きな政変の前触れを暗示していたことがある。

カテゴリ: 政治 カルチャー
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執筆者プロフィール
樋泉克夫(ひいずみかつお) 愛知県立大学名誉教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年から2017年4月まで愛知大学教授。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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