欧州「ポピュリズム」は「コロナ」で衰退するのか興隆するのか

執筆者:国末憲人 2020年8月19日
エリア: ヨーロッパ

 

 2010年代の欧州は「ポピュリズムの10年」と位置づけられるだろう。もちろん、この間にギリシャ債務危機、ウクライナ問題、難民危機、大規模テロといった、もっと派手で目立つ出来事があった。一方で、こうした多様な危機に乗じつつポピュリズムが各国で根を張り、内に抱える危機として恒常的な問題と化したのも確かである。

 ポピュリズムの流れは、ハンガリーやポーランドでの権威主義政権の誕生と定着、2017年フランス大統領選でのマリーヌ・ルペンの決選進出、さらには英国の欧州連合(EU)離脱といった形で顕在化した。その現象はまた、米国でのトランプ政権誕生やロシアの選挙介入に代表されるように、欧州の枠にとどまらない動きと連動している。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授、本誌特別編集委員 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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