国際人のための日本古代史 (128)

政治的な意図だった「蝦夷」「隼人」への差別

執筆者:関裕二 2020年10月8日
タグ: 日本
エリア: アジア
朝廷に抵抗した隼人の首領とされる「弥五郎どん」。鹿児島県曽於市大隅町の岩川八幡神社では毎年11月3日、5メートル近い巨体が練り歩く「弥五郎どん祭り」が行われる(筆者撮影)
 

 古代にも、差別はあった。自然発生的なものと、政治的な要因がある。

『魏志倭人伝』に、無視できない記事がある。倭の使者が中国にやってくる時、持衰(じさい)なる者を同乗させた話だ。

 持衰は髪をとかせず、シラミも捕らせない。服は洗わず、肉を食べず、女性を近づけず、葬儀のような状態にする。旅が無事に終われば褒美に金品や奴婢を与えるが、使節が病にかかったり、あるいは暴風雨に遭遇すると、「持衰の行いが悪いから」と、殺してしまう(人柱、人身御供)のだという。どうやって持衰を選んだのか、詳細は記されていないが、この習俗と信仰は、究極の「いじめ」に思えてくる。

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カテゴリ: カルチャー 社会
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執筆者プロフィール
関裕二(せきゆうじ) 1959年千葉県生れ。仏教美術に魅せられ日本古代史を研究。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。著書に『藤原氏の正体』『蘇我氏の正体』『物部氏の正体』、『「死の国」熊野と巡礼の道 古代史謎解き紀行』『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行』『「大乱の都」京都争奪 古代史謎解き紀行』『神武天皇 vs. 卑弥呼 ヤマト建国を推理する』など多数。最新刊は『古代史の正体 縄文から平安まで』。
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