裂けた明日
裂けた明日 (14)

連載小説:裂けた明日 第14回

執筆者:佐々木譲 2021年7月31日
カテゴリ:
写真提供:時事
内戦により、分断された日本。相次ぐ震災と原発事故、そして例の病気の蔓延で、国民の生活は壊滅的な影響を受けていた。家族を亡くし一人暮らす男の元へ、逃亡者が現れる――。<作家の眼が、現実を鋭く照射する。近未来の分断日本を描く、スリリングなSF長篇>

東京到着後は真智の知人が迎えに来てくれるという。その素性を詳しく聞く間もなく、バスは再び発車した。

[承前]

 バスが加平インターから一般道に下りたのは、午後五時を十五分ほど回った時刻だった。予定よりも十五分ほど遅れている。途中、いわき湯本インター手前で検問があったし、内戦下ということを考えれば、むちゃくちゃに運行が乱れているとも言えないだろう。郡山から福島にかけては、そもそも公共交通機関が機能していない。それに較べれば、こちらはまだバスがあるだけでもましだった。

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執筆者プロフィール
佐々木譲 [ささき・じょう] 1950(昭和25)年、北海道生れ。1979年「鉄騎兵、跳んだ」でオール讀物新人賞を受賞。1990(平成2)年『エトロフ発緊急電』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。2002年『武揚伝』で新田次郎文学賞を受賞。2010年、『廃墟に乞う』で直木賞を受賞する。著書に『ベルリン飛行指令』『天下城』『笑う警官』『警官の血』『地層捜査』『沈黙法廷』『抵抗都市』『図書館の子』『降るがいい』『雪に撃つ』『帝国の弔砲』などがある。
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