世論調査が示す「アメリカの民主主義」を信じていないアメリカ国民

2020年11月、フィラデルフィアの集計会場前で行われたトランプ支持者(左手前)とバイデン支持者(右奥)のデモ ⓒ時事
全米で投票規制緩和が25州、厳格化が18州――。来年の中間選挙を睨んだ選挙改革の動きが熱を帯びるが、その方向性は真っ二つに割れている。この「分断」の根底には根深い民主主義への不満がある。アメリカ国民が支持しているのは、結局のところ民主主義ではなく「自分の支持政党」に過ぎないのか? アフガニスタン崩壊により「民主主義のリーダー」のイメージが国際社会で揺らぎかねない状況下、米国は内にも民主主義の危機を抱えている。

 アメリカの民主主義が、1850年代の南北戦争前夜以来、最も重大な試練に直面している。これまでも長い間、党派対立というものが政策をめぐる政治運営の足かせとなってきたが、いまや民主主義の基本原則をめぐる国民の分断を生んでいる。例えば、投票とは誰もが持っている「権利」なのか、選ばれし者だけの「特権」なのか? 投票参加は容易にすべきか厳しくすべきか? 選挙結果を最終的に決着させるのは有権者か為政者か?……といった具合だ。この対立の行方によって、来年の中間選挙で議会の多数派をとる党、そして2024年大統領選挙で誰がホワイトハウスの主となるのかが決まる。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
ブルース・ストークス(Bruce Stokes) ジャーマン・マーシャル財団客員シニア・フェロー/英・王立国際問題研究所アソシエイト・フェロー。「ナショナル・ジャーナル」誌特派員、外交問題評議会上級フェローなどを歴任、1997年にはクリントン政権「Commission on United States-Pacific Trade and Investment Policy」のメンバーとして最終報告「Building American Prosperity in the 21st Century」を執筆している。2012年から2019年にかけてはピュー・リサーチ・センターで国際経済世論調査部ディレクターを務め、多岐にわたる項目について日本人の意識調査を実施した。
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