ウクライナ危機で浮かび上がる米国LNGの戦略的重要性

執筆者:小山 堅 2022年2月10日
エリア: 北米
世界最大級のLNG輸出国となったアメリカは高い供給柔軟性を保持している(「キャメロンLNG」の施設に停泊する三井物産のLNG運搬船=2019年、ルイジアナ州ハックベリー)  ©︎時事
ウクライナ情勢が緊迫し、ロシア依存度の高い欧州ガス市場への影響が懸念されている。欧米がエネルギー安全保障確保に乗り出す中で、その役割に注目が集まっているのが、供給柔軟性の高い米国LNGだ。米国は、シェール革命の成果であるエネルギー輸出の戦略的意義を問い直す必要がある。

 ロシアがウクライナ国境近くに大規模な軍を展開し圧力を高めていることから、ロシアとウクライナの間の、そしてウクライナを支援する欧米との間の緊張が大きく高まっている。ロシアによるウクライナ軍事侵攻があるのではないか、との深刻な懸念も生まれ、侵攻を抑止し、軍事衝突発生を回避するための外交的取り組みも欧米とロシアの間を中心に活発に行われている。米ロ首脳間、あるいは外交トップの間なども含め様々なチャネルで対話・意見交換が実施されているが、現時点では事態打開の糸口は見えていない。

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執筆者プロフィール
小山 堅(こやまけん) 日本エネルギー経済研究所専務理事・首席研究員。早稲田大学大学院経済学修士修了後、1986年日本エネルギー経済研究所入所、英ダンディ大学にて博士号取得。研究分野は国際石油・エネルギー情勢の分析、アジア・太平洋地域のエネルギー市場・政策動向の分析、エネルギー安全保障問題。政府のエネルギー関連審議会委員などを歴任。2013年から東京大公共政策大学院客員教授。2017年から東京工業大学科学技術創成研究院特任教授。主な著書に『中東とISの地政学 イスラーム、アメリカ、ロシアから読む21世紀』(共著、朝日新聞出版)、『国際エネルギー情勢と日本』(共著、エネルギーフォーラム新書)など。
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