ジャクソン判事を待つ「米最高裁の保守化」と、それが加速する「分断社会」

執筆者:ブルース・ストークス(Bruce Stokes) 2022年4月19日
エリア: 北米
最高裁に対するアメリカ国民の信頼は傷ついている(ワシントンDCの最高裁前に集まりジャクソン氏の判事就任を祝う人々=4月8日) (C)EPA=時事
連邦最高裁233年の歴史で初の黒人女性判事が誕生するが、その承認公聴会で投げかけられる質問には、米国社会を覆う根深い「分断」が露呈した。深刻なのはその分断を、保守化が進む最高裁自身が加速している構造だ。今秋の中間選挙あるいは2024年大統領選を控え、同性婚や〈産まない権利〉など、激論確実な争点がリベラル派ジャクソン判事を待っている。

承認公聴会でも「分断」が浮き彫りに

 もう2カ月近く、世界のニュースはウクライナ危機ばかりに占められている。ワシントンもその話題で持ち切りだ。その結果、スティーブン・ブライヤー(Stephen Breyer)最高裁判事の引退表明に伴い、ジョー・バイデン大統領が連邦最高裁の判事に指名したケタンジ・ブラウン・ジャクソン(Ketanji Brown Jackson)の承認公聴会が3月下旬に上院で行われ、議論を呼ぶ内容だったにもかかわらず、これまでの判事たちのような世間の注目を浴びることはなかった。

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カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
ブルース・ストークス(Bruce Stokes)(ぶるーすすとーくす) ジャーマン・マーシャル財団客員シニア・フェロー/英・王立国際問題研究所アソシエイト・フェロー。「ナショナル・ジャーナル」誌特派員、外交問題評議会上級フェローなどを歴任、1997年にはクリントン政権「Commission on United States-Pacific Trade and Investment Policy」のメンバーとして最終報告「Building American Prosperity in the 21st Century」を執筆している。2012年から2019年にかけてはピュー・リサーチ・センターで国際経済世論調査部ディレクターを務め、多岐にわたる項目について日本人の意識調査を実施した。
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