【Analysis】ロシア産代替は困難
イラク「クルド自治区」ガス輸出を阻む内部対立

2022年6月22日
エリア: 中東
イラク・クルド自治区のスレイマニヤ(C)REUTERS/Mohammed Jalal
 
ロシア産に代わるエネルギー確保が急務の欧州に、売り込みをかけているのがイラクのクルド自治政府だ。本来の埋蔵量からすれば十分な輸出ポテンシャルを持つが、現状は自治区内への供給もままならず、輸出計画も二大政党の対立で行き詰まっている。

[イラク・スレイマニヤ発(ロイター)]イラク・クルド自治政府のマスルール・バルザニ首相は、ロシアに代わる天然ガスの供給源として、自治区のガス輸出能力を喧伝している。だが、バルザニ首相率いる与党「クルディスタン民主党(KDP)」と、故ジャラル・タラバニ元イラク大統領が率いてきた連立政権の下位パートナー「クルディスタン愛国同盟(PUK)」の二大勢力が対立している影響で、現時点での実現可能性は高くない。KDPが欧州にガス輸出計画を売り込む傍らで、PUKが企業や顧客との交渉から排除されたことに不満を募らせ、計画を阻止しているためだ。

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