王毅は中国共産党「七上八下」ルールを突破するのか

PERSONALS【人事情報】

執筆者:城山英巳 2022年10月4日
タグ: 中国 習近平
エリア: アジア
国連総会で演説する王毅外相(C)AFP=時事
68歳なら引退という党の非公式ルールに則れば王毅外相の引退は既定路線だ。しかし、交渉力やパフォーマンス能力で右に出るものがいない「戦狼外交」の急先鋒に、代えはきかないとの見方も。

 

 中国共産党の第20回党大会が10月16日に開幕するが、2023年3月に任期を迎える王毅国務委員兼外交部長(外相)の去就が、日本政府はじめ各国外交関係者の大きな注目を集めている。

 67歳以下で留任、68歳以上なら引退という共産党の非公式人事ルール「七上八下」に基づけば、大会期間中に69歳となる王毅は引退となる。しかし「戦狼外交」の先頭に立ち、習近平国家主席から信頼の厚い王に代わる人材は見当たらない。

余人をもって代えがたい存在

 9月下旬の国連総会。王は9月19日にニューヨークで、50年前のリチャード・ニクソン米大統領訪中の立役者となったヘンリー・キッシンジャー元国務長官と会談したのを皮切りに、アントニー・ブリンケン米国務長官など33カ国・地域の外相らと会談した。このほかアントニオ・グテーレス国連事務総長や北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長とも会談し、一般討論演説や講演もこなした。

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カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
城山英巳(しろやまひでみ) 北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院教授。1969年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業後、時事通信社に入社。中国総局(北京)特派員として中国での現地取材は十年に及ぶ。2020年に早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程修了、博士(社会科学)。2010年に『中国共産党「天皇工作」秘録』(文春新書)でアジア・太平洋賞特別賞、2014年に中国外交文書を使った戦後日中関係に関する調査報道のスクープでボーン・上田記念国際記者賞を受賞。著書に『中国臓器市場』(新潮社)、『中国 消し去られた記録』(白水社)、『マオとミカド』(同)、『天安門ファイル-極秘記録から読み解く日本外交の「失敗」』(中央公論新社)、『日中百年戦争』(文春新書)などがある。
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