NSC(国家安全保障会議)――戦略策定機関としての青写真と現在地[下]

執筆者:千々和泰明 2022年10月20日
タグ: 日本
エリア: アジア
NSS局長は諸外国NSCに対するカウンターパート役を務める[訪中して楊潔篪・共産党政治局員と会談した秋葉剛男・NSS局長(左)=国家安全保障局が8月18日提供] (C)AFP=時事 
閣議決定で政府の意思が決まる日本では、NSCは「司令塔」役を求められながらも最終的な決定役にはなり得ない。あるいは尖閣諸島に漁民を装った武装集団が上陸するなど、危機管理と安全保障をまたぐ「グレーゾーン」では内閣危機管理監などと連携する。NSCは日本の統治システムから生じるいくつかの重要課題に、現場で向き合う存在だ。(こちらの前編から続きます)

 2014年のマレーシア航空17便撃墜事件では、自衛隊機が捜索救助活動をおこなったが、当時のNSS次長だった兼原信克氏によると、NSCに諮ったことでこれまでにないスピードで決定が下ったという。

 また、スタッフ組織の強化にも意義を見出せる。新設されたNSS局長は、内閣官房副長官に準ずる内閣危機管理監(危機管理に関する実務トップ)と同格として、従来の内閣安全保障部門のスタッフ組織のトップであった安全保障・危機管理担当の内閣官房副長官補(事務次官級)より格上に位置づけられた。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
千々和泰明(ちぢわやすあき) 日本大学国際関係学部准教授 1978年生まれ。福岡県出身。広島大学法学部卒業。大阪大学大学院国際公共政策研究科博士課程修了。博士(国際公共政策)。京都大学大学院法学研究科COE研究員、日本学術振興会特別研究員(PD)、防衛省防衛研究所教官、内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)付主査、防衛研究所主任研究官、同研究所国際紛争史研究室長を経て、2026年より現職。著書に『安全保障と防衛力の戦後史 1971~2010』(千倉書房、第7回日本防衛学会猪木正道賞正賞受賞)、『戦争はいかに終結したか』(中公新書、第43回石橋湛山賞受賞)、『戦後日本の安全保障』(中公新書)、『世界の力関係がわかる本 』(ちくまプリマー新書)、『日米同盟の地政学:「5つの死角」を問い直す』(新潮選書)など。国際安全保障学会理事。
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