NSC(国家安全保障会議)――戦略策定機関としての青写真と現在地[上]

執筆者:千々和泰明 2022年10月19日
タグ: 日本 安倍晋三
エリア: アジア
2016年2月7日、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けてNSC四大臣会合に臨んだ安倍晋三首相(当時)ら  (C)時事/内閣広報室提供
かつて「安全保障」という言葉から私たちは、いわば不可抗力として日本を襲う緊急事態への対応を想起した。だが、中国の台頭など国際環境が厳しさを増すなかで、安全保障はよりプロアクティブに、中長期的に国際環境それ自体も改善して行く概念へと変わっている。その戦略作りの司令塔として2013年に創設されたNSCの現状と課題をレビューする。(こちらの後編へ続きます)

 凶弾に斃れた安倍晋三元総理の「遺産」の一つは、「NSC(国家安全保障会議)」創設である。

 2022年8月2日のナンシー・ペロシ米下院議長の台湾訪問に反発した中国は、台湾周辺で大規模な軍事演習を実施した。この間に中国は、日本のEEZ(排他的経済水域)内にも5発の弾道ミサイルを撃ち込んだ。これを受けて日本政府は12日に、東アジア情勢を議題として岸田文雄内閣改造後初のNSC四大臣会合を開催した。

カテゴリ: 軍事・防衛 政治
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執筆者プロフィール
千々和泰明(ちぢわやすあき) 千々和泰明(ちぢわ・やすあき)1978年生まれ。防衛省防衛研究所主任研究官。大阪大学大学院国際公共政策研究科博士課程修了。博士(国際公共政策)。内閣官房副長官補(安全保障・危機管理担当)付主査などを経て現職。この間、コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。専門は防衛政策史、戦争終結論。著書に『安全保障と防衛力の戦後史 1971~2010』(千倉書房、日本防衛学会猪木正道賞正賞)、『戦争はいかに終結したか』(中公新書、石橋湛山賞)、『戦後日本の安全保障』(中公新書)など。
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