対中国半導体政策の司令塔、レモンド米商務長官の「ビジネス感覚」と「頭痛の種」

執筆者:杉田弘毅 2022年12月14日
エリア: 北米
タカ派の半導体政策で共和党議員の支持を集めるレモンド商務長官は、「バイデンの議会対策の秘密兵器」と呼ばれる(c)EPA=時事
2024年の大統領選に向けて「候補」の名前が取り沙汰される。中でも注目を集めだしたのはジーナ・レモンド商務長官だ。政権内で突出したタカ派である同氏は、影の薄かった歴代商務長官とは対照的に、通商経済面で対中国「新冷戦」の司令塔役を担う。トランプ政権の華為(ファーウェイ)規制を元に対中半導体規制を作り上げ、台湾半導体企業の新工場を韓国からテキサス州に奪う荒業も躊躇わないその「強気」の背景と懸念とは。

 中間選挙を乗り切り強気のジョー・バイデン米政権だが、閣僚の中で誰に注目すべきかとワシントンウオッチャーに聞けば、誰もがジーナ・レモンド商務長官と答えるはずだ。51歳。ロードアイランド州初の女性知事から政権入りした。小柄、細身だが、芯の強さを感じさせる顔立ちだ。

 バイデン政権では当初厚生長官への起用説もあったが、本人が拒否。もっと重要な仕事を望んだとみられ、財務長官説も流れたが、これについては大物のジャネット・イエレン前FRB(米連邦準備理事会)議長が就任したため実現しなかった。

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カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
杉田弘毅(すぎたひろき) 共同通信社特別編集委員。1957年生まれ。一橋大学法学部を卒業後、共同通信社に入社。テヘラン支局長、ワシントン特派員、ワシントン支局長、編集委員室長、論説委員長などを経て現職。安倍ジャーナリスト・フェローシップ選考委員、東京-北京フォーラム実行委員、明治大学特任教授なども務める。多彩な言論活動で国際報道の質を高めてきたとして、2021年度日本記者クラブ賞を受賞。2021年、国際新聞編集者協会理事に就任。著書に『検証 非核の選択』(岩波書店)、『アメリカはなぜ変われるのか』(ちくま新書)、『入門 トランプ政権』(共同通信社)、『「ポスト・グローバル時代」の地政学』(新潮選書)、『アメリカの制裁外交』(岩波新書)など。
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