物価高騰とゼロ金利の食い合わせ、実質40兆円「インフレ税」にご用心

執筆者:中原秀雄 2022年12月16日
タグ: マネー 日本 日銀
エリア: アジア
インフレ目標の導入によって金融政策と財政の相互連関は強まった[黒田東彦・日銀総裁=2022年11月14日](C)時事
インフレ率が想定外の3%台に加速する一方、依然として続く「異次元緩和」。金融政策は当面変更なしと見られるが、物価高騰とゼロ金利の食い合わせで、預金者には実質40兆円の“ステルス増税”が発生している。現在の日本経済のインフレが「供給ショック」から来ている以上、異次元緩和の継続に合理性はあるものの、この国民負担を誰がどのような形で最終的に引き受けるのかの議論が不在だ。

 急激な円安とインフレのなかで金融政策への批判が高まっている。「異次元緩和」については、マクロ経済的な観点から様々な議論があるが、ひとつだけここへきて間違いなく「大成功」と評価できる(?)点がでてきた。財政再建への貢献である。

誰も語らないステルス増税

 10月のインフレ率が前年比3.6%に達する一方、金利が長期も含めてゼロ近傍に抑えられている事で、1100兆円(2022年6月末)という個人の現預金が40兆円近く目減りしたことになる。インフレを通じた資産の目減りは、増税と同じ効果を生むことから「インフレ税」と称される。

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カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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