今週もお疲れ様でした。インドのニューデリーで来週開幕するG20を習近平氏は欠席すると伝えられました。グローバル・サウスあるいはBRICSは一つのまとまったブロックではなく、むしろ競争と対立の場、あるいは大国間の競争から利益を引き出す傍観者になるといった分析が先週に続き目を引きます。
そうした中で、G7を中露やグローバル・サウスに対峙・対抗できる国際的な枠組みへと強化することを唱えているのが、米プリンストン大教授のG・ジョン・アイケンベリーです。アイケンベリーによれば、「ルールを塗り替える今日のゲームでは、最大の連合を持つ側が優位に立つ」。西側による西側に向けた提言にも、グローバル・サウス論議は広がります。
フォーサイト編集部が週末に熟読したい記事、皆様もよろしければご一緒に。
[WORLD BRIEF]China Snubs India With Xi's Likely G-20 Absence【Alexandra Sharp/Foreign Policy/8月31日付】
北半球では夏休みが明け、南半球でも冬が終わる9月は、国際会議シーズンの幕開けの月となる。日本にとっての意味が大きな会合に絞ってみても、次のような日程が続く。
■4~7日:ASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議[ジャカルタ]
■9・10日:G20(主要20か国・地域)首脳会議[ニューデリー]
■18・19日:国連SDGサミット[ニューヨーク]
■19~26日:国連総会(一般討論)[同上]
こうした重要な会合を前にして今、英語メディアがまず注目しているのはG20サミットだ。
「来週末にニューデリーで開催されるG20サミットでは空席が目立つことになりそうだ。中国当局は木曜日[8月31日]、この地政学的に重要な会議に習近平国家主席が出席しないと示唆した。[中略]そうなれば、習がこの会議を欠席するのは、2013年の国家主席就任以来初となる」
「習がなぜ来週末のサミットを欠席するのかは不明だ。習を除けば、G20首脳で参加について『否』と返答しているのはロシアのウラジーミル・プーチン大統領のみ。しかし、地域の専門家たちは、今年のG20を欠席することは、中国の国家主席が欧米主導の制度から北京の軸足をさらに引き離すための方法のひとつであり、また、威信をかけてこのイベントを主催するライバルのインドに向けた、あからさまな嫌がらせではないかと疑っている」
このように伝えるのは、米「フォーリン・ポリシー(FP)」誌の日刊ニューズレター(平日発行)「ワールド・ブリーフ」の担当記者であるアレクサンドラ・シャープ。「習のG20欠席示唆でインドをあしらう中国」と題した8月31日号で、次のように書いている。
「中国とインドの関係は険悪だ。習と[インド首相、ナレンドラ・]モディは先週、BRICSサミットの際に、めったにない直接対話を行い、国境を共有する両国の緊張緩和について話し合った。[中略]習とモディが紛争地域についての交渉の加速で合意したことにより、双方の政府関係者には希望が見えてきたようだった」
「それが水曜日[8月30日]、インドのアルナチャル・プラデシュ州とアクサイチン高原が自らの主権下にあるとする新たな地図を中国が発表したことで状況は一変した。インドのスブラマニヤム・ジャイシャンカール外相は即座に北京の領有権主張に反論し、この地図を『ばかげている』と論評。一方、中国当局はインドに『過剰反応』しないよう警告した」
The Return of the Global South【Sarang Shidore/Foreign Affairs/8月31日付】
G20サミットへの習の出欠が関心を集める背景には、もちろん中国の外交・通商政策の危うさ、見通しにくさがあるのだが、もうひとつ無視できないのはグローバル・サウス諸国の存在感の高まりだ。
米クインシー研究所でグローバル・サウス・プログラムのディレクターを務めるサラン・シドレは、同「フォーリン・アフェアーズ(FA)」誌サイトに寄せた「グローバル・サウスの復活」(8月31日付)で、グローバル・サウスはかつての第三世界や発展途上国群とは異なるとし、次のように述べている。……
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。