Weekly北朝鮮『労働新聞』 (37)

「前例なき豊作」など今年の金正恩の「奇跡」を列挙(2023年10月29日~11月4日)

執筆者:礒﨑敦仁 2023年11月6日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
「前例なき豊作」となった今年の「決算分配」(秋、収穫量と各個人の作業量の成果を勘案して決定通知される穀物と現金の分配)に沸く安楽郡ウンジョン農場(『労働新聞』HPより)
早くも登場した今年の総括記事では、豊作、軍事パレード、新型ICBM開発などを金正恩の指導力による「奇跡」と報道。なお、金正日時代を象徴する「先軍」は記事タイトルから消えたが、「主体」は健在だ。『労働新聞』注目記事を毎週解読
 

 10月30日付第1面には、早くも今年を総括するような記事が掲載された。冒頭で今年が「前例なき豊作」であることに触れつつ、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の指導力でさまざまな「奇跡」が実現しているとされた。朝鮮人民軍創建75周年(2月8日)、「祖国解放戦争勝利」(朝鮮戦争休戦)70周年(7月27日)建国75周年(9月9日)に際して開催された閲兵式(軍事パレード)が「天下第一の偉人を高く戴いた無限の矜持と自負心を強く沸騰させた」と評価されたほか、固体燃料エンジン搭載型の新型ICBM(大陸間弾道ミサイル)「火星砲18」型発射実験(4月13日7月12日)、初めての「戦術核攻撃潜水艦」進水(9月6日)なども成果として列挙された。記事は、「不世出の偉人であられる敬愛する総書記同志がいらっしゃるため、勝利は永遠に偉大なわが国家、わが人民のものである」との一文で締めくくられている。……

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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