Weekly北朝鮮『労働新聞』 (29)

新型潜水艦進水と閲兵式で迎えた建国75周年(2023年9月3日~9月9日)

執筆者:礒﨑敦仁 2023年9月11日
タグ: 北朝鮮 金正恩
エリア: アジア
9月8日、建国75周年記念閲兵式に臨んだ金正恩と「尊敬するお嬢さま」。左端には党軍政指導部長として復権した朴正天の姿も(『わが民族同士』HPより)
北朝鮮は経済面など各分野での成果を誇示しつつ、「戦術核攻撃潜水艦」進水と閲兵式で建国75周年を祝った。紙面には7カ月ぶりに「尊敬するお嬢さま」という表現が登場し、父娘のツーショットが大きく扱われている。『労働新聞』注目記事を毎週解読
 

 9月9日、北朝鮮が建国75周年を迎えた。住宅建設など各分野での成果を誇示し、外国首脳からの祝電を紹介しながらお祝いムードを高めるなか、9月8日付は、前々日に新型潜水艦の進水式が開催されたことを、8面構成のうち6ページを使って大々的に報じた。この「戦術核攻撃潜水艦」は「金君玉(キム・グノク)英雄艦」と命名され、「主体型海軍武力強化の新時代、転換期の到来を知らせる一大事変」と位置付けられた。金正恩の演説も全文が掲載され、『朝鮮中央テレビ』は約半年ぶりにその肉声を流している。

 シャンパンの瓶を船にぶつけて進水させたのは、崔善姫(チェ・ソニ)外相であった。彼女は8月27日の海軍節慶祝宴会にも参加しており、これら軍の行事で外相が重要な役割を担っている背景がよく分からない。

 建国記念日当日の9日付は、記念行事一色であった。第1面は中央報告大会、第2面から第6面は「民防衛武力閲兵式」の様子が報じられた。2月と7月には正規軍である朝鮮人民軍による閲兵式が挙行されていたが、今回は事前に予告されていた通り「民防衛武力」「民間武力」すなわち、労農赤衛隊を中心とした民兵による閲兵式となった。……

カテゴリ: 軍事・防衛 政治
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執筆者プロフィール
礒﨑敦仁(いそざきあつひと) 慶應義塾大学教授。専門は北朝鮮政治。1975年生まれ。慶應義塾大学商学部中退。韓国・ソウル大学大学院博士課程に留学。在中国日本国大使館専門調査員、外務省第三国際情報官室専門分析員、警察大学校専門講師、米国・ジョージワシントン大学客員研究員、ウッドロー・ウィルソンセンター客員研究員など歴任。著書に『北朝鮮と観光』(毎日新聞出版)、共著に『最新版北朝鮮入門』(東洋経済新報社)など。
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