シャチは、昆布を垢すりのように使っていた

2025年7月12日
タグ: 野生生物
シャチがアロケルピングをしているところ。昆布を使い別のシャチの背中をマッサージする[2024年6月19日、アメリカ・ワシントン州サンファン諸島付近](C)Center for Whale Research, NMFS NOAA Permit 27038/Handout via REUTERS 拡大画像表示
複雑な社会構造、高度なコミュニケーション能力を持つことで知られるシャチ。その知能の高さを裏付ける新たな行動が報告された。まるで「背中をかいてくれたら、私もかいてあげる」と言うかのように、シャチが昆布の茎をお互いの身繕い道具として使っていたという。

[ロイター]研究チームは米ワシントン州とカナダ・ブリティッシュコロンビア州の間にあるセイリッシュ海でシャチの群れを観察した。その際、シャチが昆布を道具として使う様子を確認し、この行動を「アロケルピング」と名付けた。海洋哺乳類による道具使用の数少ない事例の一つとなる。

 シャチが使っていたのは、ブルケルプと呼ばれる昆布の大きな茎だ。根を張っているものや、海面に浮いているものを見つけては、茎の端を噛みちぎり、別のシャチとの間に挟んで茎をこすり合っていた。

ペアになって泳ぐシャチの一頭が昆布をくわえている[2024年4月10日、アメリカ・ワシントン州アドミラルティー湾付近](C)Center for Whale Research, NMFS NOAA Permit 27038/Handout via REUTERS 拡大画像表示

 研究チームは、アロケルピングには皮膚を健康に保つ効果があることに加え、社会的な絆を深める役割もあるとみている。他のシャチの群れでも、古い皮膚をはがすためか、滑らかな小石の海岸に体を擦りつけている様子が観察されている。

カテゴリ: 医療・サイエンス
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top