常緑樹パリナリ・エクセルサのスモモに似た果実を食べる2頭のオスのチンパンジー[コートジボワール・タイ国立公園](C)Aleksey Maro/UC Berkeley/Handout via REUTERS
[ワシントン発/ロイター]研究チームは、アフリカ東部ウガンダと西部コートジボワールの2カ所でチンパンジーを調査、チンパンジーが食べる発酵した完熟果実からアルコール濃度を測定した。その結果、通常の食物摂食量から計算すると、チンパンジーは1日に平均14グラムのエタノールを摂取していることが分かった。エタノールは、アルコール飲料に含まれる主なアルコールの種類だ。
ならば、アフリカの森の中では、酔ったチンパンジーがふらついているのだろうか。研究チームによると、答えはNOだ。チンパンジーからは酔った様子が確認されなかったという。採食行動は何時間もかかるため、発酵した果実の摂取が分散され、アルコールの影響が限られるのだと指摘する。
カリフォルニア大学バークレー校で統合生物学の博士課程に所属し、9月17日に学術誌『Science Advances』に掲載された研究論文の筆頭著者であるアレクセイ・マロ氏は次のように語る。
「食物からこれほどのアルコールを摂取することが、どの程度チンパンジーの行動に影響するか推測することは難しい。だが、熟した果実が豊富にあると、縄張りのパトロールや狩りに出る頻度が変わることが知られている。また、メスの発情周期は食物が豊富に得られる時期に合わせて周っている。大量の果実を一気に摂取できる状況では、食物と関連した行動・生活パターンにエタノールが関与している可能性もある」
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