1回目の投票で「高市総理」誕生か
維新・藤田文武共同代表「結論としては今回の協議については大きく前進したものというふうに両者で受け止めている」(10月17日・政策協議後の会見)
自民・小林鷹之政調会長「協議全体として見たときには大きく前進したというふうに捉えている」(同日・政策協議後の会見)
この日、自民党の高市早苗総裁は、1週間前に公明党の斉藤鉄夫代表から「離脱」の通告を受けた同じ国会の部屋(常任委員長室)で、日本維新の会の藤田共同代表らと会談を行っていた。
急転直下での自民・維新の接近。両党は17日の政策協議で事実上、連立への合意に至った。維新が投げていた12項目の政策課題について自民党は最大限譲歩する姿勢を見せた。関係者によれば、懸案となっていた〈食料品の消費税率ゼロへの引き下げ〉については「継続協議」、〈企業・団体献金の廃止〉は「2027年9月までの実現を目指し協議」とされた。そして維新の吉村洋文代表が「譲れない」とした〈議員定数の削減〉について、自民党は受け入れの方針を決めた。21日から始まる臨時国会に関連法案を提出する方向で調整を進めるという。
衆議院で35人の会派所属議員を要する維新が自民と連立を組むことで、自民党の196人と合わせて231人。あと2人で過半数の233人に届くことになった。
自民党は維新との連携協議と平行して、衆院議員7人が所属し吉良州司元外務副大臣が代表を務める統一会派「有志・改革の会」にもアプローチをかけ、首班指名で高市に投票するよう要請している。折衝の窓口を務めているのが“事実上の総裁”と目される麻生太郎副総裁だ。「有志・改革の会」の7人のうち、選挙区の事情などから自民党の総裁に投票するのが難しい議員もいるが、数名は自民党の呼びかけに応じると見られていることから「自民党の総裁にはなったけど総理にはなれないかもしれない」(高市自身のあいさつ・14日)と見られていた高市は、第1回目の首班指名で過半数を獲得する可能性も出てきたのだ。
維新側はいつでも離脱できる態勢
公明の離脱通告から1週間。立憲民主党や国民民主党と連立協議をしていた維新を引き抜くことに成功した高市はおそらく溜飲を下げたことだろう。しかし、維新との連携がそこまで強固なものになるとは筆者は考えていない。ひょっとしたら今年の末にはまたもや連立離脱などという事態に陥りかねないと見ている。既にその予兆は出始めている。
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