次の20年の20人 ラマ・ヤド

執筆者:国末憲人 2010年4月号
エリア: ヨーロッパ

 とにかく目立つ。 黒人であるからだけではない。フランスの閣僚の中でも頭一つ抜けた長身で、目が覚めるような笑顔の美人。サルコジ政権で二〇〇七年から人権担当相、〇九年からスポーツ担当相を務めるラマ・ヤドだ。 口を開いても、やはり目立つ。サルコジ大統領の言いなりが多い閣僚の中で、言いたい放題。経済協力を進めたい大統領の意に反して、中国や中東諸国の人権状況をずけずけ批判して「閣内不統一だ」と物議を醸した。このような独自性が、右派政治家でトップの大衆人気を集める理由でもあるだろう。 セネガルのイスラム教家庭に生まれ、フランスに家族と移住。移民街で恵まれない少女時代を過ごした。その後、右派政党の活動家となって頭角を現す。

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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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