インタレスト・オブ・ジャスティス 堀田力『壁を破って進め』

執筆者:船橋洋一 2000年7月号
タグ: 日本 アメリカ

 一九七六年三月十二日午後、法務省刑事局参事官(後に東京地検特捜部検事)堀田力は安原美穂法務省刑事局長とともに、官邸に三木武夫首相を訪ねた。 その一月ちょっと前、米上院外交委員会の多国籍企業小委員会(チャーチ委員長)の公聴会に喚問されたロッキード社のA. C. コーチャン社長が、同社の日本への民間機、トライスター機売り込みに際し、日本側に多額の賄賂を贈ったと証言した。それに関連して、日本政府高官にもカネが渡ったのではないかとの疑惑が、浮上した。 日本国内は騒然となった。国会、マスコミは政府に対して真相究明を要求した。三木首相は、ジェリー・フォード米大統領あてに、公開を前提に資料の提供を要請する親書を送った。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
船橋洋一(ふなばしよういち) アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長。1944年北京生まれ。東京大学教養学部卒。1968年、朝日新聞社入社。朝日新聞社北京特派員、ワシントン特派員、アメリカ総局長、コラムニストを経て、2007年から2010年12月まで朝日新聞社主筆。米ハーバード大学ニーメンフェロー(1975-76年)、米国際経済研究所客員研究員(1987年)、慶應義塾大学法学博士号取得(1992年)、米コロンビア大学ドナルド・キーン・フェロー(2003年)、米ブルッキングズ研究所特別招聘スカラー(2005-06年)。2013年まで国際危機グループ(ICG)執行理事を務め、現在は、英国際問題戦略研究所(IISS)Advisory Council、三極委員会(Trilateral Commission)のメンバーである。2011年9月に日本再建イニシアティブを設立し、2016年、世界の最も優れたアジア報道に対して与えられる米スタンフォード大アジア太平洋研究所(APARC)のショレンスタイン・ジャーナリズム賞を日本人として初めて受賞。近著に『フクシマ戦記 10年後の「カウントダウン・メルトダウン」』(文藝春秋)、『自由主義の危機: 国際秩序と日本』(共著/東洋経済新報社)、『地経学とは何か』(文春新書)、『カウントダウン・メルトダウン』(第44回大宅賞受賞作/文春文庫)など著書多数。
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