イランのハタミ大統領が十一月三日までの四日間、イラン大統領としては初めて日本を国賓として訪問した。穏健派のハタミ大統領は昨年三月のイタリア訪問を皮切りに、フランス、ドイツと歴訪し、訪日はこの対西側協調路線の延長線上にあった。 訪問にあたって、日・イ両国の外交当局は慎重に準備を進めた。同大統領のフランス訪問では、歓迎宴にアルコールを出す、出さないで、外交問題に発展したいきさつがあったからだ。 昨年三月、ハタミ大統領はフランスを国賓として訪問する予定だったが、エリゼ宮での歓迎晩餐会についてイラン側は「イスラム教徒はアルコールを飲まないし、ボトルを目にするのも嫌う。テーブルに出さないで欲しい」と求めた。しかしフランス側は伝統的な儀典のやり方であるとして拒否した。
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