饗宴外交の舞台裏 (44)

唐家セン外相「やめなさい」発言の波紋

執筆者:西川恵 2001年8月号
タグ: 中国 日本 韓国
エリア: アジア

 ハノイでの田中真紀子外相と唐家セン外相の日中外相会談(七月二十四日)は、中国からの申し入れで通訳を介さず、日本語で行なうという極めて異例のものだった。唐外相は日本語が堪能だが、正式の会談を一方の国の言葉で通すというのは、外交上、あまり聞いたことがない。加えて歴史的に難しい関係にある日中両国である。日本語での会談は大きな冒険だった。 会談を日本語で行なった中国側の意図について、日本のマスコミは「会談時間を有効に使いたかったためではないか」と指摘したが、日中を取り巻く状況を考えれば、それだけの理由で日本語になったとは考えにくい。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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