インテリジェンス・ナウ

保険会社がつかんでいた東京爆撃の戦略情報

執筆者:春名幹男 2001年8月号
エリア: アジア

 日本の金融部門への外国資本の進出が顕著だ。不良債権を買い漁る“ハゲタカ・ファンド”を見て、「第二の敗戦」の思いを強くする人も少なくない。 それにとどまらない。買収を通じて、日本の金融機関に関する情報は外国、特に米国のM&Aコンサルタントにも丸裸にされる。 だが、戦略的にも戦術的にも情報という立場から考えると、保険の分野ほど重要な情報が集まるところはない。生命保険、損害保険会社は情報の宝庫だ。 保険を掛けると、保険会社には、保険対象に関する重要情報が提供される。保険契約に当たって、生保には、個人の健康に関するプライバシー、損保には、建物の概要から強度、価値、場合によっては設計図や写真まで、第三者がなかなか入手し得ない情報が報告されるはずだ。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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