世界は加速度的に変化する[EU拡大]統合プロセス自体に潜む大国と小国の確執

執筆者:渡邊啓貴 2004年1月号
タグ: EU スペイン
エリア: ヨーロッパ

 十二月十二・十三日両日にブリュッセルで開催された欧州連合(EU)首脳会議では、閣僚理事会の決定方式をめぐる意見対立からEU憲法の採択にまでは至らず、合意は二〇〇四年以降に先送りされることになった。 二〇〇二年十二月の欧州理事会でEUは中・東欧および地中海諸国の十カ国の加盟を正式に決定しており、二〇〇四年五月からは二十五カ国になる。この拡大に伴う制度改革は二〇〇〇年十二月、ニースで開かれた欧州理事会で合意していた。これを受けて二〇〇二年二月に発足した憲法制定諮問会議(議長・ジスカールデスタン元仏大統領)が二〇〇三年六月に憲法草案を公表し、十月から政府間会議で議論されていた。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴(わたなべひろたか) 帝京大学法学部教授。東京外国語大学名誉教授。1954年生れ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程・パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校・ボルドー政治学院客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員教授、外交専門誌『外交』・仏語誌『Cahiers du Japon』編集委員長、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。最新刊に『アメリカとヨーロッパ-揺れる同盟の80年』(中公新書)がある。
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