「東芝ショック」に潜む危機

執筆者:安西巧 2004年1月号

業界に先立って「選択と集中」を打ち出した東芝の低迷が続いている。いち早く改革に着手しながら浮上できぬ理由とは。 二〇〇三年四月末の「ソニーショック」は投資家やアナリストだけでなく、一般のビジネスマンたちの記憶にも深く刻み込まれたが、その三カ月後と半年後の二度にわたって生じた「東芝ショック」はさほどでもない。「ショック」はいずれも株価の急落を表現したもので、決算発表が引き金になった点も共通する。ただ、前者のソニーショックが他の東証主力株にも波及して日経平均の二十年ぶりの七千七百円割れを陰で演出したのに比べ、後者のマーケット全般への影響は限定的。もちろん世界ブランドのソニーと「国際ブランド」にとどまる東芝の落差もある。目立たぬゆえに見逃されがちなのだが、実は東芝ショックの裏に潜む危機は相当に深刻だ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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