饗宴外交の舞台裏 (78)

ダブリンで祝った東方拡大

執筆者:西川恵 2004年7月号
タグ: EU フランス
エリア: ヨーロッパ

 欧州連合(EU)は五月一日、東欧など十カ国を新規メンバーに加え二十五カ国体制となった。旧社会主義国を包含したこの拡大で、戦後の欧州統合の歩みは新たな段階に到達したのである。 一日、EU議長国のアイルランドの首都ダブリンで拡大記念式典が催された。議長国のめぐり合わせとはいえ、EUの東方拡大を祝うのに欧州の西の果てアイルランドが主催国となったのも面白い。 式典会場は市の西方にあるフィーニックス・パーク。欧州で一、二を争う七百十二ヘクタールもの広大な公園である。午後五時半、ポーランド、ハンガリー、チェコなど新規加盟国を含むEU二十五カ国の首脳が屋外の特設舞台に居並ぶ中を、軍楽隊のラッパを合図にアイルランドのマカリース大統領とアハーン首相が入場した。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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