饗宴外交の舞台裏 (155)

震災支援の裏でなされた外交的駆け引き

 東日本大震災に世界各国から物心両面で温かい支援が寄せられている。その善意や真摯さに疑いはないが、支援に馳せ参じる国同士、日本に対する影響力強化をにらんで外交上の対抗心や思惑が複雑に絡む。また日本も表明される連帯の本気度を探る。震災から1カ月余、日本を舞台にさまざまな外交的な駆け引きが演じられている。
 震災後、最も早く日本に駆けつけた閣僚レベルの要人は欧州連合(EU)で国際協力、人道援助、危機対応を担当するゲオルギエワ欧州委員(ブルガリア)。3月25日来日し、日本赤十字の幹部や松本龍・防災担当大臣らと会談。翌26日には茨城県の被災地や避難所を視察し、避難者やボランティアの人々と言葉を交わし、ブリュッセルから届いた物資を配布した。

カテゴリ: 社会
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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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