キャンペーン態勢が瓦解したギングリッチ

執筆者:足立正彦 2011年6月13日
タグ: アメリカ
エリア: 北米

 共和党有力政治家の中では最初に2012年共和党大統領候補指名獲得争いへの正式出馬表明を行ったギングリッチ元下院議長。それから1ヶ月も経過しない今月9日、ギングリッチの選挙キャンペーン態勢は根幹から大きく揺らいだ。選対本部長のロブ・ジョンソン、側近中の側近であり、報道担当官のリック・テイラーをはじめとする主要な選対本部幹部や、「序盤州」であるアイオワ、ニューハンプシャー、サウスカロライナの各選挙責任者らがギングリッチの選挙キャンペーンから一斉に離脱したのだ。

 ギングリッチ自身はフェイスブックで今後も選挙キャンペーンを継続していく方針を直ちに表明した。だが、「司令塔」である選対本部の殆どの幹部が辞任した後で、再び選挙キャンペーン態勢の立て直しを図ることはもはや至難の業である。選対本部幹部らの離脱前からギングリッチの一連の失言等により支持率は低迷し、政治資金集めにも支障が生じていたため、今回の選対本部幹部らの一斉離脱は致命傷になることは避けられない。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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