10年を経て、テロリストは今

執筆者:国末憲人 2011年9月8日
タグ: 国連 フランス
エリア: ヨーロッパ

 世界を揺るがせた9・11米同時多発テロから11日で10周年を迎えるのを前に、イスラム過激派の現状を探る企画が、欧米メディアで最近みられるようになった。そのようなニュースの中に懐かしい名前を見つけた。同時テロの直後、アルカイダ系の組織の一員としてフランスでテロを企てたとして拘束された青年カメル・ダウディの近況を伝えるフランスのルモンド紙の記事である。
 
 事件の発端は同時テロ直前の01年7月、アラブ首長国連邦のドバイで旅券法違反によって逮捕されたアルジェリア系フランス人が、パリの米大使館爆破計画の存在を漏らしたことだった。芋づる式に摘発されたアルカイダ系の過激派グループの一人に、やはりアルジェリア系のカメル・ダウディが含まれていた。パリ郊外の自宅からいったん逃亡したダウディは、4日後に英国で当局に拘束され、フランスに移送された。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
国末憲人(くにすえのりと) 東京大学先端科学技術研究センター特任教授 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員、GLOBE編集長、朝日新聞ヨーロッパ総局長などを歴任した。2024年1月より現職。著書に『ロシア・ウクライナ戦争 近景と遠景』(岩波書店)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)、『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『イラク戦争の深淵』『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『テロリストの誕生 イスラム過激派テロの虚像と実像』(草思社)など多数。
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