アラブの春と「モスクワの冬」

執筆者:名越健郎 2011年12月17日
エリア: 中東 ヨーロッパ

 12月4日のロシア下院選での政権側の不正に対する抗議デモは、予想をはるかに上回る規模で全国に広がり、ロシアの政治状況が地殻変動を起こしつつあることをうかがわせた。

 11日にクレムリン南方のボロトナヤ広場で行われた抗議集会は、公式発表では2万5000人が参加とされたが、映像で見ると5万人近くが参加しているように思えた。モスクワでの民主派による大規模集会は、おそらく20年ぶりだろう。

 フェースブックなどソーシャルメディアを媒介に集結した若者らは、選挙やり直しのスローガンとともに、「プーチンは泥棒だ」「ロシアはプーチンから自由に」などとシュプレヒコールをあげた。「クマよ、去れ!」と、メドベージェフ大統領の名前の由来(メドベージはクマの意味)に引っ掛けて大統領の辞任を求める声もあった。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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