「国際政治」が決めるソマリアの戦死者数

執筆者:白戸圭一 2012年3月10日
カテゴリ: 政治
エリア: アフリカ

 米国の官公庁の記者用メーリングリストに登録している筆者のもとには、毎日膨大な数のメールが届く。このうち国防総省から届くメールには、アフガニスタンでの米兵の戦死を伝えるメールが含まれている。どの部隊に所属する兵士がいつ、アフガンのどの地方で亡くなったかが書かれている。年齢を見ると、当然のことながら20代の若者が多い。痛ましいと言うほかない。

 個々の若者の死が把握され、公式記録として残される米国とは対照的に、米軍が軍事作戦を遂行している国の地元の人々の死は、多くの場合、記録には残らない。イラク、アフガンで亡くなった人の数は「推計」である。ましてや、まともな統計なるものが存在しないアフリカの最貧国の戦争犠牲者の数など永遠に「推計」でしかない。いや、時には犠牲者数そのものが、非情な国際政治の力学によって左右されている。

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執筆者プロフィール
白戸圭一 立命館大学国際関係学部教授。1970年生れ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社の外信部、政治部、ヨハネスブルク支局、北米総局(ワシントン)などで勤務した後、三井物産戦略研究所を経て2018年4月より現職。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞受賞)、『日本人のためのアフリカ入門』(ちくま新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、三井物産戦略研究所客員研究員を兼任。
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