中国経済の悪化が止まらない。すでに危機的状況に突入しているといってもいいだろう。それを最も端的に映し出しているのが中国人民銀行の動きだ。6月8日に3年半ぶりに政策金利を引き下げたのに続いて、7月6日には2回目の利下げに踏み切った。1カ月足らずでの連続利下げに中国経済の状況の深刻さ、人民銀行の焦りがよく表れている。 2回目の利下げについて、「景気悪化に先手を打った」という説明を日本の新聞などがしているが、現状をまったく認識していない。人民銀行は住宅バブル退治とインフレ終息に軸足を置きすぎたため、景気悪化への対応が大きく遅れ、慌てて舵を切ったときには中国経済は暴風雨に突入していたというのが現実だ。だが今、中国経済を襲っているのは短期の景気悪化だけではない。急激な人件費上昇、人民元高で輸出競争力が急低下、工場脱出が本格化し始めたことこそ中国経済を大きく揺さぶっているのだ。
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