損か得か「介護のための海外移住」という選択肢

執筆者:出井康博 2012年7月31日

 介護を受けたくても受けられない高齢者が全国で溢れている。要介護度の高い人が比較的安価に入居できる「特別養護老人ホーム」(特養)には、全国で40万人以上の待機者がいるほどだ。
 高齢化社会の深刻化に伴い、介護が必要な人は今後さらに増えていく。一方、団塊世代が70代後半を迎える2025年には、100万人近い介護職の不足が見込まれる。たとえ特養のようなハコモノを増やしても、肝心の働き手がいないのである。
 民主党は2009年の総選挙で介護職の待遇改善をマニフェストに掲げたが、わずかばかり賃金を引き上げたところで人手不足の解消は困難だ。介護現場が期待を寄せた外国人介護士の受け入れにしろ、人手不足解消には全く役立たず、税金の無駄遣いを招くだけに終わっている。(2012年4月4日「根本が間違っている『外国人介護士』問題」参照)。このままでは、日本中に「介護地獄」が生まれかねない状況だ。

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執筆者プロフィール
出井康博 1965年、岡山県生れ。ジャーナリスト。早稲田大学政治経済学部卒。英字紙『日経ウィークリー』記者、米国黒人問題専門のシンクタンク「政治経済研究ジョイント・センター」(ワシントンDC)を経てフリーに。著書に、本サイト連載を大幅加筆した『ルポ ニッポン絶望工場」(講談社+α新書)、『長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う』(新潮社)、『松下政経塾とは何か』(新潮新書)など。最新刊は『移民クライシス 偽装留学生、奴隷労働の最前線』(角川新書)
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