最高級のブルゴーニュワインを産する村として、フランス中部の「ジュヴレ・シャンベルタン」を知らない愛好家はいない。2000年にわたるブドウ栽培の歴史を持ち、皇帝ナポレオンが愛飲し、現在も九つのグラン・クリュ(特級)の畑を擁している。
この村にある城「シャトー・ド・ジュヴレ・シャンベルタン」とこれに付随する2ヘクタールのブドウ畑が、中国資本によって買収された。8月に明らかになり、「フランス人の心が中国人に奪われる」などと、結構な騒ぎになっている。
同じフランスワインの産地でも、南西部ボルドーでは醸造元を「シャトー」(城)と呼ぶが、ブルゴーニュではそう呼ばない。だから「シャトー・ド・ジュヴレ・シャンベルタン」は、ワインの醸造元の意味ではなく、本物の中世のお城である。フランス革命の際に民間に払い下げられたが、近年荒廃が目立っていた。周囲に広がるブドウ畑は、19世紀半ばに城とともに買い受けたフランス人家族が所有していた。
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