安倍自民党“原発再稼働シフト”と電力改革の行方

執筆者:杜耕次 2012年10月3日
エリア: アジア

 1年後には確実に与党の座を追われているであろう民主党政権の迷走が一段とエスカレートしている。惨敗必至の次期総選挙に向け、乾坤一擲の大逆転を期す政策となるはずだった「脱原発」は、9月14日の政府のエネルギー・環境会議後に古川元久・前国家戦略相が「2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入する」と宣言してから1週間も持たなかった。予定していた19日の閣議決定は米国との調整不備で見送られ、核燃料サイクルについては使用済み核燃料再処理工場がある青森県に対し「政策の継続」を伝えるなど、その後も綻びや矛盾が立て続けに露呈している。
 政権奪還を期す自民党が9月26日に実施した総裁選挙では業界シンパの安倍晋三が当選。「電力改革」の機運は急速に後退し、原発停止による廃炉懸念や代替火力の燃料費負担で瀕死の状況だった電力会社が急速に息を吹き返しつつある。

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