経済の頭で考えたこと (53)

「レッド・キャピタリズム」中国との付き合い方

執筆者:田中直毅 2012年10月17日
エリア: アジア

 日本企業の経営者は、中国の反日不買運動は腰が入ったものになる、と判断せざるをえなくなった。しかし「中国リスク」の別の側面は、中国自身にとってのリスクでもある。「レッド・キャピタリズム」と呼ばれる中国の国家資本主義は、中国共産党が企業運営に直接介入することを意味する。このことが中国系企業のガバナンスの不明瞭性に繋がり、結果としてグローバル企業としての成長を妨げる機縁になることを否定できない。尖閣諸島問題が切り開きつつある中国内部での権力闘争の政治空間と、中国の「レッド・キャピタリズム」が海外の政府部門との間で引き起す問題群とは、共振するようにして中国の選択肢を不透明なベールで覆いつつある。

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執筆者プロフィール
田中直毅(たなかなおき) 国際公共政策研究センター理事長。1945年生れ。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年より本格的に評論活動を始める。専門は国際政治・経済。2007年4月から現職。政府審議会委員を多数歴任。著書に『最後の十年 日本経済の構想』(日本経済新聞社)、『マネーが止まった』(講談社)などがある。
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