実業を“人質”に「緑色台商」に圧力をかけ続ける中国。その影はついに二人の「龍」の上にも――。[台北発]三月二十六日、台湾の「首都」である台北市は朝からヘリコプターが上空を飛び交う物々しい雰囲気に包まれていた。陳水扁総統率いる与党・民進党などが中国の「反国家分裂法」制定に抗議する百万人デモを動員したためだ。地元テレビはヘリを使い、総統府前の大通りを埋めるデモ隊の映像を盛んに流した。 路上の喧騒とは対照的に、この日もうひとつの大きなニュースは「紙の上」で起こった。台湾最大の経済紙、経済日報が奇美実業グループの創業者である許文龍氏の公開書簡を一面トップで掲載したのだ。テレビはこれについても何度も繰り返し報じていた。

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